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On Teto’s Trail

作家:

エレナ・トゥタッチコワ

会期:

2017年 12月2日(土)〜 2018年 1月14日(日)

英語には「foil」という言葉があるのだが、その意味の一つは、中世英語から由来している「(眼に見えない)獣の跡」、あるいは「獣の臭跡」だ。獣の道を辿ることは、獣の「foil」を辿るということ。また、「痕跡を消すように下流を辿る」を意味する「foilen」という、現在は存在しない大昔の猟師たちが使っていた言葉もある。眼に見えない無数の道を辿り、痕跡を残しながら、人間はきっと世の中を歩いて生きていたのだろう。

最近、犬と歩く機会が度々あるのだが、犬と歩くことは、やはり一人で歩くやヒトをともにして歩くとは、何か違う能力を必要としているのではないかと思ったりする。
ある日、八ヶ岳麓に住んでいるテトという犬とお散歩をして、ふと気がついた。私よりこの場所をよく知っているテトは、人間の私には見えない道を歩いているのではないか、と。それに気がついた私は、テトの眼と鼻と足と記憶を頼りに、八ヶ岳麓の道を案内してもらうことにした。そこから私とテトの旅が始まり、今も続いている。

エレナ・トゥタッチコワ

エレナ・トゥタッチコワ / Elena Tutatchikova

アーティスト。1984年, ロシア, モスクワ生まれ。
東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻博士課程。
自然と人間の関わりや文化的現象を通じた人間の記憶の形成, 想像力と風景認識の関係に関心を抱き, 地域のリサーチを重ね土地や個人の物語を採集し, 写真, 映像, 音, 文章で表現する。
写真集に『林檎が木から落ちるとき, 音が生まれる』がある。
http://elenatutatchikova.com/

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